スペインのバレンシア州で2024年10月29日から30日にかけて発生した大規模な洪水では、SNSを中心に様々な偽情報が急速に広まりました。これは住民の混乱を招き、救助活動に支障をきたす結果となりました。この記事では、どのような偽情報が広まり、どのような影響を与えたのか、MALDITA.ESやCNA、EURO NEWSの記事、およびファクトチェック記事(Snopes、CheckYourFact)をもとに整理します。なお、MALDITA.ESは、偽情報に関する112のトピックを特定しています。
1. 「ダムの決壊」と「政府の陰謀」
SNSでは、スペイン政府がダムを意図的に破壊したという誤った情報が拡散されました。これにより、「ダムが決壊し、大規模な洪水が発生した」といった噂が広まり、住民の不安を煽りました。しかし、実際にはダムは無傷であり、洪水は自然現象によるものでした。政府関係者はこうした誤情報が救助活動の妨げとなったとしています。
2. 気象レーダーと「気象操作」陰謀論
災害時に頻発する「気象操作」に関する陰謀論も例外ではありませんでした。「HAARP」というアメリカの研究プロジェクトが気象を操作した結果だとするデマが拡散されました。しかし、これは科学的根拠のない主張であり、スペインの気象機関(AEMET)は数日前から警報を発していたため、突然の人工的な現象ではないことが明らかになっています。
3. 偽の避難指示と緊急連絡先のデマ
SNSでは、避難命令が出たという誤情報が拡散され、混乱が生じました。この避難命令は実際には発令されておらず、住民が誤って行動をとることで、交通渋滞や救急車の通行妨害が発生しました。また、公式の緊急連絡先がダウンしたという噂と共に、偽の緊急連絡先がSNSで拡散され、混乱を招いたケースもあります。
4. 「クリスマス装飾」への批判
洪水被害の最中に「市当局がクリスマス装飾を優先している」といった情報が広まり、市民の不満が高まりました。この情報は一部真実を含んでいましたが、実際にはクリスマス装飾の設置は民間企業が行っており、災害対応を怠ったわけではありませんでした。
5. 「洪水被害の写真とビデオの誤用」
SNSで拡散された写真や動画には、今回の災害とは無関係な過去の洪水映像が含まれていました。例えば、2023年に撮影された洪水映像が今回の災害のものであるかのように広まりましたが、これは事実ではありませんでした。このような誤情報は、災害の状況を誇張し、無用な恐怖を煽るリスクがあります。
まとめ
災害時に流れる情報の多くは混乱を生みやすく、偽情報により無駄な行動を引き起こす恐れがあります。信頼できる情報源を確認する習慣を身につけ、SNSでの情報をそのまま鵜呑みにしないことが重要です。特に災害時は、公式機関や認証済みのメディアからの情報を元に行動することが、混乱を避けるための基本的な対応策です。
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