メタ社を一斉提訴、SNS偽広告の被害者 全国5地裁 (2024.10.29)
SNSでは詐欺につながると思われる投稿が多くあります。首都圏と関西地方などに住む計30の個人と法人で請求総額は計約4億3500万円。問題になってから、長い期間がかかりましたね。すでに、4月には日本法人を提訴していましたが、本社相手に切り替えたようです。
すでに、詐欺を行った会社については、賠償命令が出された記事はありました。実際に詐欺を行った会社(広告主)は直接的に金銭を得ているので、加害者としてはわかりやすいですが、プラットフォーム提供者にはどこまで責任を問えるのでしょうか。
集英社オンラインの記事では、NPO法人「投資詐欺被害者の会」副理事長である国府弁護士は以下のように話したと書かれています。
1989年9月に最高裁の判決が下された「日本コーポ事件」(新聞各紙面に不動産広告を掲載したにもかかわらず、物件の引き渡しも代金の返済もせずに売主の日本コーポは倒産。売買契約を結んでいた買主らが当該広告を掲載した各新聞社に対して損害賠償を求めて提起した事件)では、『広告内容の真実性をあらかじめ十分に調査確認する一般的な法的義務はない』とし、広告を掲載した新聞側の責任を否定した。
「ですが、このときの判決によれば『広告媒体が誇大広告・詐欺広告とわかる状況になったときは、広告媒体は掲載してはならず不法行為責任になる』ともしています。
Facebookに溢れている偽広告については、2023年夏に前澤社長は『自分の広告ではない』とSNS等で呼びかけています。つまり、それ以降は、詐欺疑念が生じるため、広告媒体は(偽広告を)掲載してはならない義務が生じます」(国府弁護士)
堀江貴文氏はYoutubeで1年以上前に「うちのスタッフが何十回も広告依頼削除を出していると思います」と語っています。メタ社は知っているとは思いますが、裁判所がどう判断するのか気になるところです。とはいえ、メタ社から言えば、大した額ではないのでしょう。日本でも懲罰的損害賠償制度を採用してほしく思います。
総務省は、2024年6月21日メタ社になりすまし型「偽広告」への対応に関する要請を実施しました。日本の大企業と違って、アメリカのプラットフォーマーに効果があるようには思えません。
経産省は、2024年6月28日にメタ社、LINEヤフー社、Google社にヒアリングをした結果を公表しています。その中でメタ社には審査体制に問題があることが書かれています。また、詳細を読むと、「Facebook アカウントを保有する利用者であれば広告出稿可能」とのこと。メタ社がひどいと言われるのもわかります。
LINEヤフー及びGoogle は上記判断を行える体制を組んでいることが回答されているが、Meta においては、専ら機械(システム)により審査を行う中、上記判断を行える体制に関し、十分な回答が行われていない。
総務省が10月21日・22日に、メタなど5社になりすまし型「偽広告」のヒアリングをしたことが日本ネット経済新聞の記事になっています。まだ、総務省のページにはその結果の情報はありませんが、経産省の結果とそう変わるものではないでしょう。
NHKの報道によるとEUの執行機関であるヨーロッパ委員会は、メタ社に対して、偽情報対策が不十分でデジタルサービス法に違反している疑いがあるとして調査を始めています。EUには、企業に違法なコンテンツへの対策などを義務づけ、違反した場合、最大で年間売上高の6%という巨額の制裁金を科す法律があるので、メタ社にも効果があるでしょう。日本も同様に強化してほしいように思います。
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