連邦政府の武器化最終報告書が明かすアメリカの言論弾圧の現実(2)

連邦政府の武器化最終報告書が明かすアメリカの言論弾圧の現実(2) 情報操作

 2024年12月20日に発表された「連邦政府の武器化」報告書 Part 2は、FBIが2020年のアメリカ大統領選挙に向けて行った具体的な行動に焦点を当てています。Part 1では、政府とソーシャルメディア企業がどのように連携し、市民の言論を抑制する仕組みを築いてきたかが描かれていました。本記事では、その続編であるPart 2に基づき、「ハンター・バイデンのラップトップ事件」に関連するFBIの行動とその影響を掘り下げます。

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ハンター・バイデンのラップトップ事件:事実から「偽情報」へ

FBIの対応

  • 背景:
    • 2019年、FBIはハンター・バイデンのラップトップを押収。その内容には、バイデン家の影響力行使やハンター・バイデンの問題行動を示す情報が含まれていました。
    • FBIはすぐにラップトップの内容が本物であると確認していました。
  • 2020年選挙前の行動:
    • FBIは選挙直前に「ロシアによるハック・リーク操作のリスク」をソーシャルメディア企業に警告。
    • 特に「Burisma」や「ハンター・バイデン」に関連する情報が偽情報として出回る可能性があると指摘しました。

ソーシャルメディア企業の対応と影響

 Part 2では、FBIの警告を受けてソーシャルメディア企業がどのように対応したかが具体的に述べられています。それぞれの企業の行動と、それが選挙や市民に与えた影響を以下に詳述します。

Facebookの対応

  1. アルゴリズムの適用:
    • New York Postが公開した「ハンター・バイデンのラップトップ」に関する記事に対して、拡散を抑制する措置を実施。
    • Facebookは「ハックされた資料」に関する新しいポリシーを適用し、記事の拡散範囲を50%削減しました。
  2. 内部の動き:
    • 内部メッセージでは、「FBIからの警告を無視することは企業の評判にリスクをもたらす」との懸念が共有されていました。
    • 一部の社員は、「FBIの指示が正確であるかの確認が不足している」との疑問も抱いていましたが、最終的には警告に従う形で対応が進みました。

Twitterの対応

  1. 直接的な抑制:
    • New York Postの記事へのリンクを削除。
    • 記事の共有やダイレクトメッセージでの送信を一時的にブロックしました。
  2. アカウント凍結:
    • New York PostのTwitterアカウントを凍結し、記事を発信する手段を制限。
    • 後にリンク削除は解除されましたが、アカウントの復旧には数週間を要しました。
  3. 透明性の問題:
    • Twitterはその後、ユーザーに対応の詳細を説明する機会を設けましたが、「なぜこの記事が削除されたのか」という透明性に欠けた部分が批判されています。

他の企業の対応

  • Google:
    • 特定のコンテンツや広告が「ハックされた資料」に該当すると判断された場合、選挙期間中の配信を制限しました。
  • Amazon:
    • ワクチンに批判的な書籍のプロモーションを停止した事例が挙げられています。
    • 報告書では具体的に選挙関連とはされていないものの、政府からの影響を受けた可能性が示唆されています。

ソーシャルメディア企業の対応がもたらした影響

  1. 情報の遮断:
    • 約3,000万人の有権者が、この情報を知らないまま投票を行ったと推定されています。
    • 調査では、この情報が共有されていれば、一部の有権者の投票行動が変化した可能性があるとされています。
  2. 選挙結果への潜在的影響:
    • ハンター・バイデンに関する報道が制限されたことで、バイデン候補への批判が十分に浸透しなかった可能性が指摘されています。
    • 一方で、企業が「選挙の公正性」を守るという名目で行動していたことも、内部文書で明らかにされています。
  3. 企業への信頼低下:
    • 一部のユーザーは、これらの対応が政府の圧力に基づいていたことに不信感を抱き、ソーシャルメディア企業の中立性に疑問を呈しました。

FBIの「予防措置」活動の問題点

 Part 2で特に注目されるのが、FBIの「予防措置(Prebunking)」です。これは、情報が拡散される前に「信頼できない情報」として扱うよう誘導する活動でした。

  • 特徴:
    • 情報が表に出る前に、企業に「これはロシアの偽情報である可能性が高い」と伝える。
    • これにより、記事や情報が公開される前に信頼性を損なう環境を作り出しました。
  • 影響:
    • 実際の事実に基づく報道であっても、偽情報として扱われるリスクが生じました。
    • 市民の知る権利を奪う結果に繋がったと報告書は指摘しています。

結論:民主主義と透明性のために

 報告書 Part 2は、FBIとソーシャルメディア企業の連携がどのように選挙結果や民主主義の基盤に影響を与えたかを具体的に示しています。特に、以下の点が重要です。

  1. 政府の権力乱用のリスク:
    • 偽情報対策を名目に、正当な報道を封じ込める行動が行われた。
  2. 市民の情報へのアクセス制限:
    • 選挙の透明性と公正性が損なわれた。

 民主主義を守るためには、政府と民間企業の透明な関係が不可欠です。この報告書は、私たちに重要な教訓を提示しています。

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