DSAと偽情報対策行動規範の統合：EUの規制強化とその影響

　2025年2月13日、欧州委員会と欧州デジタルサービス委員会は「偽情報対策行動規範（Code of Practice on Disinformation）」を「デジタルサービス法（DSA）」の枠組みに正式に統合することを承認した。2025年7月1日から有効になる。

　これにより、超大規模オンラインプラットフォーム（VLOPs）および超大規模オンライン検索エンジン（VLOSEs）は、リスク軽減義務の一環として、行動規範の遵守状況が評価される可能性がある。

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DSAとは？

(1) 概要

　DSAは、EUが2022年に制定した法律で、オンラインプラットフォームに違法コンテンツ管理とシステム的リスクの軽減措置を義務付ける。特にVLOPs/VLOSEsには以下の義務がある。

• 第34条：偽情報、外国の情報操作、選挙の透明性、公衆衛生リスクなどの「システム的リスク」を特定・分析
• 第35条：リスク軽減措置の実施
• 第37条：リスク軽減義務の履行状況について独立監査を受ける

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偽情報対策行動規範とは？

(1) 背景

　2018年に欧州委員会主導で策定された業界規範で、Google、Meta（Facebook・Instagram）、Microsoft、TikTokなどが署名している。

(2) 主な内容

　行動規範は、偽情報の拡散防止策として以下の施策を求める。

1. 偽情報の収益化防止（広告出稿の制限）
2. 政治広告の透明性向上（スポンサー情報の表示、広告データベースの公開）
3. サービスの信頼性向上（ボット・偽アカウント・AI生成コンテンツの悪用防止）
4. ユーザー支援（偽情報報告ツールの提供、メディアリテラシー向上）
5. ファクトチェック機関の支援（データ提供、チェック結果の表示）
6. 迅速対応システム（RRS）（選挙や危機時の偽情報拡散抑制）

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DSAへの統合で何が変わるのか？

(1) 行動規範が「自主行動規範（Code of Conduct）」として承認

• DSAの枠組み内で正式な「自主行動規範」として承認された。
• 行動規範の遵守が「リスク軽減措置の一例」として認められる可能性がある。

(2) 監査と報告義務

• 行動規範の遵守は義務ではないが、リスク軽減措置の一環として評価される可能性がある。
• VLOPs/VLOSEsは、リスク管理義務の履行状況について独立監査を受ける。

(3) 参加しない場合の影響

• 行動規範に参加しない場合、DSAのリスク軽減義務を別の方法で満たしていることを証明する必要がある。
• 監査の結果、リスク軽減措置が不十分と判断されると、年間売上高の最大6%の制裁金が科される可能性がある（DSA第74条）。

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今後の影響

(1) EU外のプラットフォーム

• DSAはEU市場に展開するすべてのプラットフォームに適用されるため、X、Telegram、Substackなどの未参加企業にも影響が及ぶ可能性がある。

(2) 偽情報対策の統一

• 行動規範の統合により、EU全域で偽情報対策の基準が統一される方向に進む可能性がある。

(3) 企業の対応

• 行動規範に参加することで、DSAの適合評価を得やすくなると考える企業が増える。
• 一方で、規制負担を理由に、一部のプラットフォームがEU市場での対応を見直す可能性もある。

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6. まとめ

✅ 文書の記載内容

• 偽情報対策行動規範がDSAに統合され、リスク軽減措置の一環として評価される可能性がある。
• VLOPs/VLOSEsは、リスク管理義務の履行状況について独立監査を受ける。
• リスク軽減措置が不十分と判断されると、制裁金が科される可能性がある。

⚠️ 今後考えられる影響

• EU外のプラットフォームにも適用される可能性がある。
• 偽情報対策の統一基準が確立される可能性。
• 企業の対応戦略が変化する可能性。

　今後、規範の実施状況を注視する必要がある。