ノルウェーの独立系平和研究機関であるPRIO(Peace Research Institute Oslo)のStine BergersenとGabriel Lönnが2026年4月に公開したPRIOペーパー「Increasing resilience in the age of disinformation」は、ノルウェー国防省(MoD)の委託を受け、欧州における偽情報対策の比較検討と、ノルウェー社会の心理的レジリエンス強化に向けた実践的提言をまとめた政策研究報告書である。調査は2024年3月から2025年11月にかけて実施され、ウクライナ国家非常事態庁(SESU)副長官Oleksii Migrin少将、スウェーデン心理防衛庁(MPF)長官Magnus Hjort、ノルウェー国家安全保障局(NSM)専門局長Andreas Skjøld Lorangeらとの半構造化インタビューに加え、2025年5月のヘルシンキ「認知戦とセキュリティ」ワークショップ(CENTREPEACEプロジェクトの一環)、2025年10月のオスカルスボルグ・ノルディック安全保障シンポジウムへの参加、さらにトロムソ大学主導の二部構成全国調査(FAKENEWS)への参画を通じて実証的な基盤を構築している。
概念の整理:情報障害の分類と論争
報告書は冒頭、偽情報関連概念の定義的混乱そのものが実務的な政策調整を阻害するという認識を出発点に置く。ミスインフォメーション・ディスインフォメーション・マルインフォメーション・フェイクニュースの4概念は、学術・政策・法律の各文脈で互換的に使用されることが多いが、報告書はこれらを以下のように整理する。
| 概念 | 事実性 | 欺く意図 | 共有の動機 |
|---|---|---|---|
| ミスインフォメーション | 虚偽 | なし | しばしば偶発的 |
| ディスインフォメーション | 虚偽 | あり | 操作のための欺瞞 |
| フェイクニュース | 虚偽・捏造 | あり | クリック誘導・政治的議題 |
| マルインフォメーション | 真実(文脈から切り離された) | あり | 加害・恐喝・妨害 |
報告書が採用するディスインフォメーションの定義には3要件が課される。第一に情報が事実として誤りであること、第二に欺瞞・誤誘導・加害の意図を伴って拡散されること、第三に実際に加害をもたらす潜在性を持つことである。この第三要件を説明するために報告書は「サンタクロース・テスト」という表現を用いる——子どもにサンタクロースの存在を告げることは事実誤りかつ欺く意図があるが、加害の潜在性はないため、ディスインフォメーションには該当しないという論理だ。
また報告書は、「情報戦」「認知戦」といった「warfare」系用語が持つ政治的含意について批判的な検討を行う。2025年にSocial Epistemology誌に掲載されたTim Hayward(2025)の論文は、ディスインフォメーション研究が認識論的フレーム(命題が虚偽かどうか)・行動的フレーム(協調的拡散の検出)・安全保障フレーム(広範な信念による危害リスク)という三つの問題設定を混在させてきたことを指摘し、安全保障的関心が認識論的厳密さを圧倒するリスクを警告している。報告書はこの批判を引用した上で、「warfare」という用語が市民的・政治的課題を軍事的フレームで包み込み、監視や検閲といった例外措置を正当化する可能性を持つと論じる。FIMI(Foreign Information Manipulation and Interference:外国による情報操作・干渉)の概念はより有用だと評価される。FIMIはすべてのディスインフォメーションを包含するわけでなく、自国民を脅威ではなく脆弱性として位置づけるという重要な論理的区別を内包するからだ。
ノルウェーの政策的軌跡:1946年から2025年国家戦略まで
ノルウェーにおける心理的防衛への意識は戦後直後に遡る。1946年の国防委員会は、防衛には軍事的要素に加え、市民的・社会経済的・心理的防衛が不可欠であると明記した。2020年に提出された「防衛セクター長期計画」(Prop. 14 S 2020-2021)は、サイバー工作・経済的圧力・偽情報を包括する「複合的手段」(sammensatt virkemiddelbruk)の概念を正式に採用した。2022年の言論自由委員会(NOU 2022:9)はデジタル変容とソーシャルメディアが民主的言論空間に与える影響を分析し、メディアリテラシー強化・独立ジャーナリズム支援・デジタルプラットフォームの透明性確保を勧告した。2023年の全体防衛委員会(NOU 2023:14)は、ノルウェー社会の高い信頼水準が偽情報への耐性の核心をなすと指摘しながらも、「現代的心理的防衛」の組織的設計については答えを留保した。総合備え委員会(NOU 2023:17「今こそ本気で」)はさらに踏み込み、インテリジェンス・保安機関とは独立した偽情報監視・分析を担う国家機関の創設を勧告した。
2024〜25年の「全体的備え白書」(Meld. St. 9)は100以上の施策を提示し、国防省の役割を「防衛セクター・防衛政策・防衛能力を対象とした影響工作、または国家安全保障上の軍事的脅威となりうる工作を担当する省庁」と定義した。政府は偽情報対策の集中型機関創設を適切ではないと判断したものの、より統合的なアプローチの必要性は認めた。2025年6月には「偽情報に対するレジリエンス強化のための国家戦略(2025〜2030)」が発表された。40以上の施策が5つの柱——批判的メディアリテラシーの強化、ソーシャルメディアプラットフォームの説明責任(DSA・AI法・メディア自由法の執行強化)、編集管理型メディアとジャーナリズムの強化、知識・研究の拡充、政府の取り組みと調整の強化——のもとに整理されている。同年10月15日には、政府がFaktisk.noが主導する「Tenk – Senter for kildebevissthet(情報源意識センター)」の設立に2,000万ノルウェークローネを拠出すると発表した。同センターはNTNU・ノルウェー児童青年評議会・ノルウェー出版協会・ノルウェー新聞協会を設立母体とし、既存のFaktiskの学校向け部門「Tenk」を引き継ぐ形で機能する。2025年9月に首相府が公表した初の国家安全保障戦略は、ノルウェー防衛能力の迅速強化・社会レジリエンスの向上・経済安全保障強化という三優先事項を掲げ、「中央政府から民間企業・労働組合・ボランティアセクター・自治体・そして最終的にすべてのノルウェー市民に至る全社会的アプローチ」の必要性を明記した。
欧州の比較事例:フランス・フィンランド・ウクライナ
欧州各国の対応は制度設計の点で顕著な多様性を示している。フランスは2021年7月13日、「マクロン・リークス」——ロシアによる2017年大統領選挙介入未遂——への対応として、首相府直属の国防・国家安全保障総事務局(SGDSN)傘下に「Viginum(外国のデジタル干渉に対する警戒・保護局)」を設立した。約50名の職員はOSINT・データサイエンス・地政学・デジタルマーケティングの専門家で構成され、科学・倫理委員会が年次報告を通じて活動を評価する。Vigniumの強みは「分析から告発までのパイプラインの機動性」にあり、外国起源の偽情報キャンペーンを迅速に特定して政治的意思決定者に直接報告する機能を持つ。
フィンランドはメディアリテラシー指数で7年連続首位を維持している。その核心は初等教育段階から始まる批判的思考の全カリキュラム統合にあり、フィンランド安全保障委員会は心理的レジリエンスを「個人・コミュニティ・社会・国家が危機状況から生じる圧力に耐え回復する能力」と広く定義した上で、防衛大学での全国コース・政治指導部向けのテーブルトップ演習・クロスセクター訓練・大学カリキュラムへの複合的脅威シナリオの統合を実施している。首相府の状況センター内には全省庁・学術界・民間部門の代表者からなる複合的脅威分析グループが常設されている。
戦時下のウクライナは、戦略コミュニケーションセンターや偽情報対策国際センターによる偽情報の検出・反駁に加え、PR Armyを通じてウクライナの声を世界メディアへ接続し、AIスタートアップが開発した監視プラットフォームによる影響工作の即時対応体制を構築している。地方自治体向けの戦略コミュニケーション研修(School for StratCom)は3年間で200セッションを実施し、国・地方両レベルで1,000名の公務員に訓練を提供した。Hybrid CoEの報告書(Kalenský & Hanhijärvi, 2025)が指摘するように、非首都圏の公務員は偽情報啓発の最も軽視されがちなターゲットであり、ウクライナの分散的アプローチはこの空白を埋める試みとして注目に値する。
スウェーデン心理防衛庁(MPF)の制度的解剖
スウェーデンの心理的防衛概念は1940年代に遡る。1954年の「心理的防衛備え委員会」(BN)は1985年に「心理的防衛総局」(SPF)へ統合され、2002年にその機能が他機関へ移管、2009年にはSPFが民間緊急事態庁(MSB)へ統合された。2014年のクリミア占領と東部ウクライナ戦争勃発を契機に議論が再燃し、2018年にStefan Löfven首相が「Folk och Försvar」会議において新機関の設立を表明。2020年に政府調査委員会(PVU)が「新しい心理的防衛強化のための機関」(SOU 2020:29)を提出し、2022年1月にMPFが発足した。
組織は三層構造をとる。最上位に長官Magnus Hjort(2022年〜)と政府任命の諮問委員会、第二層に事務局長補佐と最高安全保障責任者が率いる機能部門、第三層に行政・作戦・能力開発の三部門が置かれる。2025年9月時点の職員数は約85名で、発足時からほぼ倍増している。財政面では政府配分が収入の97〜98%を占め(2022〜2024年)、総収入は1億1,320万SEK(2022年)から1億5,570万SEK(2024年)へと増加した。同期間の人件費比率は42%から48%へ上昇しており、組織の人的資本への投資が強化されていることがわかる。
MPFの公式ミッションは「スウェーデンまたはスウェーデンの利益を標的とした影響工作・誤情報・偽情報の特定・分析・対抗支援を行い、自由で開かれた公論と民主主義的価値を守ること」(Förordning 2021:936)である。PVU委員会が提案した7つの機能領域は、全社会的レジリエンスの調整・強化、悪意ある影響キャンペーンの識別・対抗、他機関への継続的な知識共有、関係アクター向け研修・演習の提供、研究の発注・追跡・公開、メディアへの要請ベースの支援、政府への情報提供・能力開発根拠の提示から構成される。MPFはこれら全機能を自ら実施するのではなく、政府内で各分野の専門機関を調整する「ハブ」として機能する。2025年の世論調査では、スウェーデン国民の75%がMPFの任務を重要と評価しており、この数値は発足以来上昇傾向にある。
MPFの作戦部門長Mikael Tofvessonは、機関の基本的な立場を次のように説明している——機関は民主主義的理由から外国の偽情報のみに対抗し、自国民を対象としない。国内の偽情報拡散者は「脅威」ではなく外国アクターに対する「脆弱性」であり、支援と強靭化の対象として位置づけられる。この「内部は脆弱性、外部は脅威」という概念的区別は、FIMIというフレーミングと整合し、MPFが「真実省」批判を回避しながら正統性を維持する核心的な論理となっている。
LVUキャンペーン事例:偽情報の多層的影響
MPFが発足直後に直面した最も顕著な事例が、2021年から少なくとも2024年まで継続したLVU(Lag med särskilda bestämmelser om vård av unga:青少年ケアに関する特別規定法)キャンペーンである。キャンペーンの核心は、スウェーデン当局がLVUを口実にムスリムの子どもを家族から「誘拐」しているという主張を含む動画群であった。動画はスウェーデン国内アカウントを起点とし、エジプト人インフルエンサーのShuoun Islamiyaによる拡散を経て、アラビア語・トルコ語圏アカウントを通じて広まった。国内的には主としてムスリム圏出身の第一・第二世代移民への信頼侵食を狙い、対外的にはスウェーデンをイスラム嫌悪国家として描く言説を強化した。後者の効果は2022〜23年にかけてスウェーデン・トルコ関係に亀裂をもたらし、エルドアン大統領への批准申請が係留していたスウェーデンのNATO加盟プロセスを実質的に遅延させた。さらにLVUキャンペーンは、2023年を通じて起きたコーランの焼却事件と並行して展開された。
Ahlerup & Ranstorp(2023)による事後評価報告書は、MPFが設立されていなかった仮定的シナリオと比較した場合、単一の機関が各段階で統一的な状況報告を公表し続けた事実が、個々の社会福祉機関への圧力を著しく軽減したと評価する。同報告書はLVUキャンペーンがスウェーデン社会の重大な脆弱性——行政・地方自治体と特定の市民集団の間の信頼欠如——を露呈させたと結論づけており、偽情報そのものへの対処だけでなく長期的な信頼醸成と脆弱性の予防的処置が不可欠だと論じる。ノルウェーにおける2016年のBarnevernet事例——同様に児童福祉機関への偽情報攻撃が20か国以上でのノルウェー大使館前抗議に発展した——は、ノルウェーも同種の脅威と無縁でないことを示す並行事例として報告書に位置づけられている。
調査データ:ノルウェー市民の認識と行動
報告書の分析的核心の一つは、FAKENEWS(「偽情報と人々:社会的信頼とレジリエンスへの影響」)プロジェクトが実施した二部構成の全国調査である。調査はトロムソ大学のGunhild Hoogensen Gjørv教授が主導し、PRIOのBergersenがPRIO側を統括した。2024年2月10日〜3月6日に6,561名が第一次調査に回答し、うち3,495名がSMS介入への参加に同意した。最終的に2,276名が介入(5週間・10通のSMSメッセージ)を受け取り、第二次調査を完了した。SMSの内容はノルウェーメディア局(Medietilsynet)の「Stopp. Tenk. Sjekk.(止まれ。考えろ。確認しろ)」キャンペーン(2019年)を基礎としている。
主要な知見は以下のとおりである。危機時の情報源信頼については、家族を最優先とした回答者が41%、次いで警察・緊急サービス・DSB/FHI等の国家機関・NRKと続く一方、学校を「最も頼りにしない」とした回答者は45%と突出していた。NRKへの信頼と利用については、回答者の81%がNRKを主要ニュースソースとして使用し、68%が最も信頼するニュースソースと回答した。ただし危機時にNRKを優先する回答は29%に留まり、信頼と実際の参照行動の乖離を示した。NRKの利用率と信頼率はいずれも学歴と正の相関を示す——大学4年以上修了者の利用率88%・信頼率73%に対し、中学校卒業者では利用率74%・信頼率61%となっている。フェイスブックを主要ニュースソースとする回答者は37%で、高学歴層では28%・高卒層では43%と学歴差が顕著だった。いかなるソーシャルメディアからもニュースを得ていないとした回答者は38%存在する。
SMS介入の効果については、偽のニュース見出しを識別できるという自己評価を7段階中5以上とした割合が介入前59%から介入後73%へ上昇した。10本の見出し(実在5・捏造5)への信頼度評価では、虚偽見出しへの不信評価が62〜93%に達し、真実見出しへの信頼評価が49〜83%から76〜89%へ上昇した。ただし一つの真実見出し——「スウェーデン政府が移民拡大の選択肢を検討中」——は回答者の71%が不信と判定しており、正確な情報であっても公衆の識別が困難なケースの存在を示している。偽情報対策の責任帰属に関しては、最大の責任を負うべきは伝統的メディア(58%)と政府・政治家(57%)との回答が最上位に並んだ。これは国家・公共機関が情報空間の番人として機能することへの強い公衆期待を示しており、MoDによる戦略的コミュニケーション投資の根拠の一つとなる。
分析的知見と前進上の課題
報告書が示す研究動向の整理は、ファクトチェックとメディアリテラシーへの過剰な期待に対する批判的留保を含む。Vosoughi et al.(2018)は2006〜17年のTwitterデータ(約126,000件の検証済み真偽ニュース・約300万ユーザー・450万ツイート以上)を分析し、偽情報が真実よりも速く・深く・広く拡散することを実証した。ボットが真偽ニュースをほぼ同率で拡散するという発見は、偽情報の広がりをボットだけに帰責する議論の限界を示した。Buchanan(2020)は個人が虚偽と認識しながらも偽情報を共有する傾向が既存態度との一致から生じることを明らかにし、Pennycook et al.(2021)は人々がしばしば精度よりも別の要因に注意を向けるためにシェア行動が規定されると指摘しながらも、わずかな「ナッジ」で行動変容を引き起こせることも示した。Roozenbeek & van der Linden(2019)は15,000名規模の実験で、偽情報製造者役を演じるゲームを通じた「予防接種」が年齢・学歴・認知スタイル・政治イデオロギーを問わず検出能力を向上させることを示した。
報告書はこれらの知見を踏まえ、主要な前進上の課題として五点を挙げる。第一に、偽情報の識別が認識論的・行動的・安全保障的フレームの複合問題であること。第二に、ミスインフォメーションとディスインフォメーションの区別には情報の起源に関するインテリジェンスが必要であり、それは常に利用可能でないこと。第三に、捏造コンテンツに依存しない影響工作——国内言説の増幅や既存の社会的亀裂の搾取——は事実確認だけでは対抗できないこと。Sivertsen(2024)が指摘するように、ロシアの情報戦略は自国の「真実」を広めることだけでなく疑念を創出することを目指しており、2025年秋冬に欧州各地の空港周辺で多発した無人機目撃事案はこの動態の象徴である。第四に、ファクトチェックとメディアリテラシーの単独対応の構造的限界。第五に、ノルウェーおよび欧州全体での国家的取り組みの組織的調整の欠如が最も根本的な課題であること。
制度的比較の観点では、スウェーデンが集中型専任機関を通じた体系的・能動的アプローチを採用しているのに対し、ノルウェーの対応は責任原則・平等原則・近接原則・協力原則(ansvarsprinsippet, likhetsprinsippet, nærhetsprinsippet, samvirkeprinsippet)に基づくセクター別・分散型の構造にとどまっている。ノルウェーの高い教育水準・機関への信頼・複数政党制・国家支援型編集管理メディアはレジリエンスの基礎的条件として評価されるが、2025年5月の会計検査院報告(Riksrevisjonen)は既存の計画・訓練が地方・地域レベルでの軍民調整に実際には対応できていないことを指摘した。
ノルウェー国防省への4つの提言
報告書の最終章は、偽情報の存在を根絶する施策ではなく、その被害的影響を限定・軽減する方向性に軸を置いた4提言を示す。
提言1:国家調整の強化。 偽情報対策を調整する集中型ユニットの設立が有益と考えられる。同ユニットは自らファクトチェックを行うのではなく、複数機関の取り組みを整合させ情報戦・心理的防衛・戦略コミュニケーションの専門知識を蓄積するハブとして機能する。Lif(2024)が提示する「四重螺旋モデル」——政府・産業・学術・市民社会の四者協働——が有用な思考枠組みとして参照されている。Freihse & Bochert(2024)が複数の専門家証言に基づいて示すように省庁間調整は「日常的な争い」になりがちであり、首相府直属への配置が検討に値する。ユニットをMoD外部に置くことで、心理的防衛を軍事戦略と同一視する誤解を回避し社会的正統性を確保できる。また国際的には欧州・NATOパートナーへの明確な連絡点として機能する。
提言2:概念的明確化への貢献。 「影響工作」「情報工作」「ミスインフォメーション」「ディスインフォメーション」が互換的に用いられる現状はセクター横断的な脅威評価の比較可能性を損ない、政策応答のミスアライメントを生む(Caspari, 2021)。FIMIという概念は「外国起源」を明示し自国民を脆弱性として位置づける点で有用であり、MPFのHjort長官自身がこの語の採用を評価している。また「warfare」系用語は明確に軍事的文脈を指す場合以外での使用を節制することが推奨される。
提言3:戦略的・透明性ある広報の優先。 NSMの国家リスク評価やPST・NISの年次公開脅威評価は透明性ある情報発信の良例だが、これらをより広く・継続的に社会全体へ届ける努力が必要だ。Hybrid CoEの国際調査(Kalenský & Hanhijärvi, 2025)では、自国政府の偽情報対応を透明性があると評価した回答者が半数を下回っており、改善余地は大きい。危機外での情報共有は信頼を構築し、偽情報が占拠しうる情報の空白を埋める。戦略的コミュニケーションはクライシス対応のツールとしてだけでなく、長期的な信頼醸成の継続的手段として位置づけられるべきである。
提言4:公衆啓発による信頼構築。 LVU事例・Barnevernet事例が示す通り、偽情報への耐性は普段からの市民と公的機関の信頼関係の上に初めて成立する。市長や警察署長が日常的な場で市民と直接関わるような施策が特に移民コミュニティや周縁化されたグループを対象として求められる。SMS介入実験の結果は、大規模な制度改革と並行して低コストな啓発的介入が一定の効果を持つことを示唆しており、アイスランドが「Stopp. Tenk. Sjekk.」キャンペーンを参照して類似取り組みを実施した事実はこの種の施策の国際的移転可能性を示している。
報告書が最終的に到達する核心的な論点は、「偽情報を封じ込める」戦略と「偽情報の悪影響に対する耐性を高める」戦略の概念的・実践的分離である。前者は信頼の浸食を標的とする現代的な偽情報の構造に対してそもそも不十分な応答であり、後者の観点から社会的信頼・民主的価値の強化・心理的防衛の制度的埋め込みを全体防衛の核心として位置づけることが、本報告書の根本的なメッセージである。


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