2025-09

論文紹介

Slopaganda──生成AIがもたらすプロパガンダの新局面

生成AIが生む「AIスロップ」が政治利用されると何が起きるのか。論文「Slopaganda」を紹介し、事例と認知科学的仕組みを整理する。
偽情報対策全般

独立テクノロジー研究の危機と連帯 ― 「Power in Numbers」報告書を読む

独立テクノロジー研究者は「データ砂漠」「攻撃」「資金危機」に直面している。最新報告書は具体的事例を交え、その深刻さと連帯による対抗策を描く。
ヘイトスピーチ

A Strained National Identity: ヨルダンのナショナリズムとデジタル分断

ヨルダンのデジタル空間で拡散するナショナリズム言説を分析したISDの最新レポートを紹介。パレスチナ系住民を「ファラスティーズ」「バラジェク」と呼んで排除する侮蔑的ハッシュタグ、部族間で飛び交う「物乞い」「根無し」といった中傷、そしてネット上の挑発が現実の暴力に発展する事例まで、具体例をもとに国家アイデンティティをめぐる分断の実態を描く。
情報操作

インド・パキスタン衝突と影響工作の実態

2025年春のインド・パキスタン衝突では、軍事行動と並行して二つの影響工作ネットワークが展開された。AI生成画像や偽造文書、国連や国際メディアを巡る情報操作、国内野党への攻撃など、Hidden Charkha(親インド)と Khyber Defender(親パキスタン)の活動は、戦時情報空間の実態を示す具体例となっている。
偽情報の拡散

移民をめぐる誤情報を超える──Club de Madrid/Leir Institute 政策ブリーフの射程と限界

Club de MadridとLeir Instituteの政策ブリーフを紹介。人口減少や経済への誤情報をデータで反証しつつ、治安問題を避けた限界も指摘する。
情報操作

西バルカンを覆う偽情報──悲劇と地政学を利用した情報操作の最前線(2025年1〜3月報告)

2025年初頭、西バルカンを襲った悲劇と政治危機は、巧妙な偽情報キャンペーンの標的となった。USAID資金停止を利用した反米プロパガンダ、抗議を「カラー革命」と断定するナラティブ、EU統合への失望をあおる虚報──地域の安定を揺るがす偽情報の構造を最新報告から読み解く。
偽情報の拡散

英国主要紙にみるEV誤情報──需要低迷・充電不足・高価格という作られた物語

英国の主要新聞448本の記事を分析したオックスフォード大学の報告書は、EV報道に誤情報が多く含まれる実態を示した。需要低迷や充電不足、高価格といった物語が繰り返され、市場心理を歪めている。新聞ごとの立場の違いや、中国を脅威として描く傾向も浮かび上がり、環境論点から市場論点へと焦点が移った誤情報の構造を明らかにしている。
詐欺

AIはサイバー犯罪の新しい主役になりつつある:Anthropic脅威インテリジェンスレポートから

AIはすでにサイバー犯罪の主役に。Anthropicの最新レポートが示す、Claude悪用事例とAI犯罪の実態を詳しく解説。
論文紹介

偽情報対策における新しいCTIの方向性──FakeCTIデータセットとLLMによる概念抽出

偽情報キャンペーン対策を「ドメインやアカウント」から「物語構造」へとシフトさせる研究が登場。FakeCTIデータセットとLLMによる概念抽出で、最大94%の帰属精度を達成した新しいCTIの枠組みを紹介する。
偽情報対策全般

TikTokと北欧のメディアリテラシー──透明性報告の内実を読む

TikTokの透明性報告を北欧で検証。数百万インプレッションと誇る施策の実態はクリック率0.2%台、外部検証不能。リテラシー先進国で浮かび上がる「見せかけの透明性」と政策と若者文化の乖離を追う。