本稿が紹介するのは、オランダ・ハーグに本部を置く人権NGO、Global Human Rights Defence(GHRD)が2026年5月30日付で公表した報告書「From Democratic Model to Digital Constraint? Digital Repression and the Transformation of Civic Space in Senegal(民主主義モデルからデジタル的制約へ? セネガルにおけるデジタル抑圧と市民空間の変容)」である。GHRDは国際的な人権侵害の監視と法的擁護を専門とする団体で、本報告はその中東・アフリカチーム(Middle East & Africa Team)に所属するChiara Innocenti、Diyara Demir、Elisabedi Koridze、Martina Malaman、Rueida Muhamed、Ypke Wuの6名が共同で執筆した。報告書は全27ページの本文に36ページ分の脚注・参考文献を伴う構成で、憲法・プレスコード・刑法典・新設のメディア規制法という国内法制度の分析と、2021年から2024年にかけての政治危機の経緯、インターネット遮断とSNS遮断の実態、ジャーナリストへの刑事訴追と暴力の記録、そしてロシアによる情報工作という外的要因までを一貫した論理で結びつけている。
セネガルの自己像とその亀裂
報告書の導入部は、セネガルが長らく西アフリカにおける「民主主義の例外」として扱われてきた事実から出発する。選挙を通じた政権交代が機能し、報道は活発で、野党は公然と発言し、対立は制度の枠内で処理されてきたというのが、この国に付与されてきた評価であった。この評価に亀裂を入れたのが、2021年3月の野党指導者ウスマン・ソンコの逮捕に端を発する一連の政治危機である。報告書はこの危機の性質について、単なる治安部隊による実力行使にとどまらず、モバイルデータの遮断、SNSへのアクセス遮断、若年層に人気のTikTokの数か月にわたる停止、テレビ局の放送信号の遮断、Facebook投稿やWhatsAppグループでのやり取りを理由とした一般市民への刑事訴追という、デジタルインフラを標的にした一連の措置が伴った点に力点を置く。政府側の説明は一貫して「公共秩序」と「国家安全保障」の維持であったが、報告書の主張の核心は、この4年間の経験がセネガルにおいて「インターネット遮断やメディア閉鎖は非常手段」という認識を掘り崩し、政治的混乱への「通常の対応」へと変質させつつあるという点にある。ネットワーク遮断や省令によるメディア閉鎖が最終手段ではなく常態化しつつあるという指摘であり、これが一過性の措置の集積ではなく、制度化(institutionalisation)の過程として描かれている点が、本報告の分析上の軸になっている。
市民空間を規定する法制度——憲法の理念と現実の乖離
報告書第1章は、セネガルの市民空間を規律する法的アーキテクチャを、2001年憲法(2016年改正)から出発して段階的に検証する。2001年1月22日制定・2016年改正の憲法は、セネガルを「世俗的、民主的、社会的」共和国と規定し(第1条)、第8条で意見の自由、表現の自由、報道の自由、結社の自由、集会の自由、移動の自由、示威行動の自由、そして「多元的情報を受ける権利」を列挙する。第10条は表現の自由の行使態様を定め、「言葉、筆、映像、平和的な行進によって自由に意見を表明し流布する権利」を保障しつつ、これを「他者の名誉および評価」ならびに「公共秩序」を侵害しない範囲に限定している。第11条は報道について事前許可制を採らない原則を定め、第12条は結社の自由を保障する一方で刑法および公共秩序に反する目的を持つ結社を禁止する。政治的多元主義については第4条と第58条が規定しており、特に2016年4月5日の憲法改正法2016-10号による改正後の第58条は、野党に「その任務を遂行しうる地位」を保障し、野党党首(Head of the opposition)の権利義務を定めるという、大陸の他の憲法にはあまり見られない構成を採用している。報告書はここで、これらの条文を読み合わせれば、報道・結社・野党は許容された例外的存在ではなく民主的生活の構成的制度として憲法上位置づけられていると評価する一方、第8条と第10条自体が各自由を「法律の定める条件」や「名誉」「公共秩序」という伸縮的な限界に服させている点を指摘し、市民空間の実質的内容は通常立法、すなわちプレスコード・刑法典・行政規則に委ねられていると結論づける。
この「憲法の約束」と「通常立法による制約」という二層構造こそが、本報告全体を貫く分析枠組みである。
プレスコードによる行政的統制
2017年7月13日法律第2017-27号(プレスコード)は、2017年6月20日に国民議会で全会一致採択されたもので、印刷・放送・オンラインメディアを規律する。報告書が特に問題視するのはいくつかの具体的条文である。第3条は「ジャーナリスト」を、公認されたジャーナリズムの学位、または学士号取得後4年間の実務経験を省令によって設置される委員会が認定した者に限定する狭い定義を採用する。第198条・第199条は全国プレスカードの取得を義務づけ、これを欠く場合に刑事罰を科す。第70条、第72条、第80条から第83条は報道企業をセネガル法上の法人として構成し通信省への届出を義務づけ、第178条はオンライン報道企業について資本所有に関する要件を定める。
最も争点となっているのが第192条で、これは知事・県知事・郡長を含む行政当局に対し、ある出版物が「国家安全保障への脅威」あるいは憎悪扇動にあたると判断した場合に、メディアの停止・閉鎖や機材の押収を行う権限を付与する。国境なき記者団(RSF)は「これまでは48時間を超える場合に判事の承認を得る必要があったが、もはやそうではない」と指摘し、閉鎖決定が政治任命職の手に委ねられた実態を批判している。第193条はこの行政的論理をオンライン報道にも拡張し、通信規制当局を通じてアクセスプロバイダやホスティング事業者への通知を可能にする。第194条から第209条は報道犯罪に対する刑事罰を維持しており、RSFは同法が「名誉毀損に対し最長2年、『フェイクニュース』の公表に対し最長3年の禁錮刑を維持している」と指摘する。第205条・第206条は共同省令による外国報道の流通禁止を認めている。
西アフリカ・メディア財団(MFWA)はこの法律を「一歩前進、二歩後退」と評し、第224条・第225条が報道犯罪に対する禁錮刑を引き上げたこと、そして第192条が事前の司法許可なしに政治任命職に閉鎖権限を与えたことを、「すべてのジャーナリストの頭上に吊るされたダモクレスの剣」と表現した。ARTICLE19も2017年の法的分析で同法を「セネガル法を表現の自由に関する国際基準に適合させる機会を逃したもの」と評価し、第192条、第194条、第198条、第199条、第201条、第203条、第204条、第207条、第208条、第225条の廃止を求めた。国連自由権規約委員会も2019年10月13日の総括所見で、新プレスコード下での報道犯罪の存置と、これらの規定および「国家元首侮辱罪」を根拠とした逮捕の申し立てが多数存在することへの懸念を表明し、報道犯罪と国家元首侮辱罪の非犯罪化をセネガルに勧告している(同総括所見パラ44〜45)。
この行政権限が実際にどう運用されるかは、複数の事例が示している。2023年6月1日、Walf TVの放送信号が第192条に基づき遮断された。この日はダカールの刑事裁判所が野党指導者ソンコに欠席裁判で「若者の腐敗」罪により禁錮2年を言い渡した日であり、停止処分は後に30日間に延長された。2025年4月22日には通信・電気通信・デジタルメディア相アリウン・サルが省令に署名し、「プレス企業の審査・認証委員会」が評価した639社のうち381社をプレスコード非準拠として活動停止とする決定を下した。同年6月12日には最高裁が、対象となった1社(Public SN)について第178条の要件を満たしていたとして停止処分を覆しており、報告書はこの一連の経過を、行政権限の広範さと、それでもなお残存する司法の抑制機能の両方を示す事例として位置づけている。
オンライン表現の刑事罰化——サイバー犯罪法よりも刑法典
報告書が強調するのは、セネガルにサイバー犯罪に関する専門立法(2008年1月25日法律第2008-11号、刑法典第431-7条から第431-65条)が存在するにもかかわらず、政治的なオンライン言論に対する訴追の主要な法的根拠は、この専門立法ではなく通常の刑法典だという点である。2008年法はコンピュータシステムの機密性・完全性・可用性に対する犯罪、データ改ざん、コンピュータ関連の偽造・詐欺、児童ポルノ、人種主義的・排外主義的コンテンツを対象とするもので、2016年11月8日の法律第2016-29号・第2016-30号がサイバーテロ、デジタル上の身分詐称、データの不正複製という犯罪類型を追加し、「明白に違法な」コンテンツの司法遮断制度を導入した。だが実際の起訴で用いられているのは、より広範な刑法典上の一般条項である。
以下に、報告書が具体的に言及する主要条文を整理する。
| 条文 | 内容 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 刑法典第255条 | 「フェイクニュース」の公表・流布・開示・複製で、法律への不服従を招き、国民の士気を損ない、または公的機関の信用を失墜させうるもの | 禁錮1か月〜3年、罰金2万〜150万CFAフラン(別の記述では10万〜150万CFAフラン) |
| 刑法典第254条 | 大統領侮辱罪 | 禁錮6か月〜2年 |
| 刑法典第258条 | 刑事名誉毀損 | — |
| 刑法典第80条 | 公共の安全を脅かし、または重大な政治的混乱を引き起こす性質の「策動・行為」 | 禁錮3〜5年 |
| 刑事訴訟法第139条 | 第56〜100条・第255条該当犯罪について検察官の申立てによる勾留状発付を義務化 | — |
ARTICLE19は、Facebook投稿、WhatsAppメッセージ、オンライン記事に対してこれらの規定が体系的に適用されてきたことを文書化しており、2017年5月には7人だけの非公開WhatsAppグループ内で風刺的な合成写真を共有した女性4人が第256条に基づき訴追された事例を報告している。法律分析団体LEXOTAは第255条について「個人に明確な指針を与えず、法執行にあたる者に過度に広範な裁量を与えている」と結論づけている。2025年6月には、AfricTivistes、ARTICLE19セネガル・西アフリカ支部、アムネスティ・インターナショナル・セネガル、RADDHO、Y’en a Marreが連名で共同声明を発表し、「セネガルにおける刑法典第255条の反復的かつ憂慮すべき使用に深い懸念」を表明し、第255条・第80条の改正を求めた。この声明は、バシル・ジョマイ・ファイ新政権下でもコラムニスト・活動家・ジャーナリストに対するオンライン発言を理由とした訴追の波が続いていることを背景にしている。
新設された全国メディア規制評議会(CNRM)
最も新しい規制枠組みが、2026年1月7日に閣議で承認され、同年3月3日に国民議会で法律第07/2026号として可決された全国メディア規制評議会(Conseil national de régulation des médias, CNRM)に関する法律である。同法は数週間後の2026年4月7日に、憲法評議会によって一部が違憲と判断された。CNRMは2006年1月4日法律第2006-04号によって設置された旧視聴覚規制全国評議会(CNRA)を置き換えるものだが、その規制範囲はテレビ・ラジオにとどまらず、「印刷媒体、オンラインメディア、デジタルプラットフォーム、コンテンツクリエイター、セネガル国内でアクセス可能な外国メディア」に及び、人工知能が生成したコンテンツも対象に含まれる。
CNRMは12名からなる合議体(College)で構成され、政令によって任命される委員は3年の更新可能な任期を務める。この構成をめぐっては、独立機関とされながら政府の影響力が強く及ぶ懸念が指摘されている。セネガル情報通信専門職組合(SYNPICS)と放送・報道編集者評議会(CDEPS)は、法律採択前に協議が行われなかったことと、第4章が付与する権限の広さ——メディアの行政閉鎖、放送の停止、オンラインコンテンツの遮断、プラットフォームへのアクセス遮断を含み、しかも「不服申立ての可能性なしに決定が即時執行される」——を批判した。制裁金は国内主体に対して50万〜2000万CFAフラン、国際的デジタルプラットフォームに対しては最大1億CFAフランまたはセネガル国内売上高の2%のいずれか高い方とされている。第31条はCNRMに対し、職業上の守秘義務を対抗できない形での現地での文書取得権限を付与している。
2026年4月7日の憲法評議会決定は、アイサタ・タル・サルおよびティエルノ・アラサン・サルを筆頭とする野党議員23名の申立てに応じたもので、第33条4項の第3・第4段落および第31条第2段落を違憲かつ分離可能と判断し、第34条・第41条・第42条について厳格解釈の留保を付した。具体的には公権力行使に先立つ事前の司法許可の要求と、暫定的停止措置を公共秩序および他者の権利保護の場合に限定する制約である。報告書はこれを、新規制機関の裁量の中核を狭めはしたが除去はしなかった判断と評価している。同時に、CNRMは「まだデジタル抑圧の実証された道具ではない」としつつ、SYNPICS、CDEPS、MFWA、CIVICUSが指摘するリスク——オンラインメディアへの広範な規制範囲、実効的な不服申立て制度を欠くコンテンツ遮断権限、行政閉鎖、政治的緊張期における デジタル統制の制度化——は、2025年4月の381媒体停止処分や、政治危機のたびに繰り返されてきた第192条の適用実績に照らして読まれるべきだと報告書は釘を刺している。
2021〜2024年の政治危機——ソンコ事件から選挙延期まで
報告書第2章は、この法制度が実際にどう運用されたかを、2021年から2024年にかけての政治危機を通じて跡づける。危機の直接の引き金は、元税務調査官でPASTEF(Patriotes Africains du Sénégal pour le Travail, l’Éthique et la Fraternité=労働・倫理・友愛のためのアフリカ愛国者党)を設立したウスマン・ソンコをめぐる事件である。ソンコは反腐敗の言説とエリート統治批判、格差に不満を抱く若年層への訴求によって政治的存在感を築き、2021年3月にレイプ容疑で逮捕された。この逮捕は司法手続きが有力な野党候補を失脚させるために利用されているという広範な認識を呼び、単なる裁判事件を超えた全国的な動員へと拡大した。
この後の展開についてアムネスティ・インターナショナルが2025年に公表した集計によれば、2021年から2024年の期間を通じて、少なくとも65人が主に銃器によって死亡し、少なくとも1,000人が負傷し、約2,000人が逮捕された。これは孤立した事件の集積ではなく、持続的な弾圧のパターンを示すものだと報告書は評価する。CIVICUSは2023年、セネガルを「抑圧された(repressed)」国のリストに格下げした。
2023年7月にはソンコの党PASTEFが解散に追い込まれ、これは野党の組織的基盤そのものへの打撃として位置づけられる。ソンコの盟友であり後の大統領候補となるバシル・ジョマイ・ファイも逮捕された。抗議行動を報じていた主要な民放テレビ局Walf TVの信号は2024年の混乱期に遮断され、ジャーナリストは取材中に逮捕・嫌がらせを受けた。この危機は2024年初頭、マッキー・サル大統領が選挙運動開始のわずか数時間前に大統領選挙の延期を発表したことで、制度上最も深刻な局面に達した。これはセネガル史上初めての大統領選挙延期であり、大規模な抗議行動と少なくとも3人の死者、ジャーナリストを含む少なくとも266人の逮捕を招いた。この混乱期にはモバイルインターネットへのアクセスが制限され、政府は「憎悪的・破壊的なメッセージ」への対処を理由に挙げたが、報告書はその実際の効果が抗議行動の組織化を妨げ、リアルタイムでの報道を制限することにあったと分析する。
デジタル抑圧の技術的手段
報告書第3章は、こうした政治危機の中でインターネット遮断・SNS遮断・デジタル統制ツールがどのように運用されたかを、3つの局面に分けて検証している。
インターネット遮断とその法的帰結
事実上の全国規模でのデータ接続遮断は2023年6月1日、内務省と通信省が通信事業者に対しSNSとモバイルインターネットサービスへのアクセス制限を命じたことに始まる。6月4日には通信省がすべての携帯電話事業者に対しインターネットサービスの停止を命令し、ソンコの有罪判決と大統領サルの3期目をめぐる緊張の中で数千万人の利用者が接続を絶たれた。モバイルデータの停止や遮断は夜間外出禁止令や政治集会のタイミングに合わせて数週間続き、一部地域では2023年7月に至っても大規模な障害が続いていた。政府側の公式説明は一貫して公共秩序・国家安全保障の言説に基づいており、内務省・通信省いずれも、これを「平和を維持する」ための時限的な技術的措置と位置づけたが、明確で公にアクセス可能な法的命令や詳細な影響評価は示されなかった。
この遮断措置は国際的な法的検証にさらされることになった。2024年初頭、AfricTivistes、情報通信技術利用者協会(ASUTIC)、ジャーナリストのムサ・ンゴム、アヨバ・ファイ、ンジャガ・ゲイの3氏を含む市民社会組織とジャーナリストの連合が、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS/CEDEAO)司法裁判所に訴訟を提起した。2025年5月14日に下された判決(Association des utilisateurs des technologies de l’information et de la communication(ASUTIC)et Ndiaga Guèye contre la République du Sénégal事件)で、ECOWAS司法裁判所はセネガル政府の国家安全保障を根拠とした抗弁を全面的に退け、2023年のインターネット・SNS遮断を違法と宣言した。判決は、制限が合法的でも比例的でもなく、表現の自由、情報へのアクセス権、そして一部の事案では労働権を侵害したと認定し、遮断が明確な国内法的枠組みに基づいておらず、セネガル政府が措置と主張された安全保障上の脅威との間の十分な関連性を示せなかったことを指摘した。判決はアフリカ人権憲章第9条および自由権規約(ICCPR)第19条への違反を明示的に認定し(なお報告書の別の箇所では自由権憲章第15条への言及もある)、セネガルに対し今後「違法または恣意的な」インターネットアクセス制限を課さないよう命じた。これにより、単発の救済にとどまらない、地域における拘束力ある法的先例が形成されたことになる。西アフリカでは2020年にトーゴに対する同様の判決が下されており、報告書はインターネット遮断が孤立した事案ではなく反復的な権利侵害のパターンであることを示す事例として位置づけている。
法的な断罪にとどまらず、市民社会による影響評価も深刻な帰結を記録している。2024年のInternewsの報告書(Vidal, Schwartz-Henderson, El Hadji, Diokh, & Sy執筆)は、モバイルインターネットの遮断がダカールやピキンなどの都市部で遠隔医療の診察、遠隔学習プラットフォーム、中小企業向けデジタル決済システムを停止させたことを明らかにしている。政府が遮断の期間や範囲について明確な説明を示さなかったため、通信事業者も利用者も不確実な状態に置かれ、経済的損失と社会的混乱が拡大した。
SNSプラットフォームの遮断
全般的な接続制限と並行して、政府はFacebook、Twitter、WhatsApp、Instagram、YouTube、TikTok、Telegramといった主要なSNS・メッセージングアプリに対する標的型の遮断措置を実施した。まずダカールを含む主要都市で、その後全国規模のネットワークへと拡大する形で行われたこの遮断は、通信事業者・プロバイダへの行政指令を通じて、これらのプラットフォームに関連する主要ドメインやIPアドレスへのトラフィックを迂回・遮断するという手法によって実施された。内務省・通信省はこの措置について、「憎悪的・破壊的なメッセージ」と「暴力の扇動」の拡散を理由に挙げ、「事態のさらなる悪化」を防ぐために必要だと説明した。
フランコフォン西アフリカにおける若者主導の抗議運動に関する研究(Accord, 2026)は、セネガルの活動家がWhatsApp、Facebook、X(旧Twitter)を、フラッシュモブ型の抗議行動の調整、警察部隊の動きに関するリアルタイム情報の共有、国家による暴力の記録という目的のために大きく依存していたことを指摘している。これらのプラットフォームは、警察の暴力を撮影した画像・動画の急速な拡散を可能にし、国際的なメディア報道と世界各地でのディアスポラ主導の連帯運動を促した。同時に、プラットフォーム遮断はジャーナリスト、人権擁護者、一般利用者の間の自己検閲を強めた。デジタル権利や報道の状況を監視する組織は、デジタル権利擁護者やメディア関係者が投稿を理由とした処罰を予期するようになり、政治的に敏感とみなされるコンテンツの公表・共有に慎重になったと報告している。
デジタル統治の安全保障化
報告書は、これらの場当たり的な遮断措置とプラットフォームブロックの背後に、より広範な「デジタル統治の安全保障化」という軌道が存在すると指摘する。これはセネガルが完全な監視国家に転じたことを意味しない。むしろ、デジタル統制の手段が「公共秩序」や「国家安全保障」という公共安全の言説を通じて、繰り返し正当化され、規範化されつつあるという言説的な転換を意味する。接続インフラは、開発やサービス提供のためのインフラとしてではなく、政治的不安定とオンライン上の異論に対する恒常的なリスク管理の領域として扱われるようになっているというのが、報告書の評価である。この安全保障主導の言説は、サイバー犯罪やデジタル安全保障立法をめぐる国内の議論にも現れており、政策立案者はテロ対策や組織犯罪対策の名目で監視・データ保持権限の拡大を主張してきた。報告書はこれらの手段が「デジタル主権」や「サイバーセキュリティ」という中立的な言葉で正当化される一方、実際の政治的に敏感な文脈での適用は、2023年の遮断措置を正当化した論理と重なり合うと分析する。
制度化のリスクは、こうした慣行と論理が先例として定着していく過程にある。研究者や市民社会は、政府がインターネット遮断を危機管理の手段として繰り返し用いることが、将来の政治的対立においても同様の措置がより起こりやすくなる「常態化の地平線(normalisation horizon)」を生み出すと警告している。2023年の遮断が国家機関からほとんど正式な異議を受けなかった(ECOWAS裁判所が後に判決を下すまで)ことが、この安全保障を根拠とする説明が定着する一因となった。議会や司法による明確な統制メカニズムが意思決定の連鎖に組み込まれていないため、将来の政権が同様の措置を混乱時の「標準的運用手続き」とみなす可能性があると報告書は指摘する。ただし、制度化が不可避というわけではなく、市民社会は接続に影響する決定について透明な法的保護措置と独立した監督を求める根拠として、プラットフォーム閉鎖・遮断がもたらした社会経済的影響を体系的に文書化してきたことも付言されている。
メディアとジャーナリストへの圧力
報告書第4章は、法制度と危機対応の分析を、個別のメディア・ジャーナリストに対する具体的な措置の記録によって裏づける。近年のセネガルは情報アクセス法の制定、内部告発者保護の強化、情報発信の信頼性向上を目指す全国オブザーバトリーの創設など前向きな改革も進めてきたが、これらはメディア停止・訴追・「フェイクニュース」というレッテル貼りという圧力と併存している。
381媒体の停止処分
2025年4月、通信・電気通信・デジタルメディア相アリウン・サルは、プレスコードに非準拠とみなされたメディアによる放送・出版・コンテンツ共有の即時停止を命じる省令に署名した。この省令は2024年10月に設置された「プレス企業審査・認証委員会」による通知を受けたもので、同委員会の任務はメディア環境の規制と専門職化、プレスコードの遵守確保である。6か月後、政府は評価対象となったメディアのうち381社をプレスコード非準拠と宣言した。この省令は国家警察の領域監視局に対し、これらの停止処分を執行し、非準拠メディアの活動を阻止する権限を付与した。
ARTICLE19はこの実施過程を批判し、メディアの専門職化自体は正当な政策目的であると認めつつ、採用された措置は比例性を欠き、表現の自由と独立ジャーナリズムに深刻なリスクをもたらすと論じた。国際的な表現の自由基準は報道・デジタルメディアの免許制を認めておらず、こうした制度はICCPRなどの国際法枠組みが定める必要性テストの下では許容されないと指摘している。またARTICLE19は、報道法は政府が表現・情報の自由を保護するどころか過度に制限する手段として機能することが多いため慎重に扱われるべきであり、多くの成熟した民主主義国はすでに報道法を廃止し、市民法・商法など一般に適用される法律によって印刷メディアを規律する方向に移行していると付け加えている。
こうした懸念を裏づける個別事案として、2025年10月、民放テレビ局7TVの経営責任者マイムーナ・ンドゥール・ファイが、ダカール西部ウアカム地区の同局施設に警官隊が強制的に立ち入る形で逮捕された。この逮捕は、7TVが政府批判者として知られるアヴニール・コミュニケーション・グループ創設者マディアンバル・ジャーニュを取り上げた報道の直後に行われた。セネガルは2025年末にジャーニュに対し、国家契約に絡む詐欺・資金洗浄容疑で国際逮捕状を発している。24時間も経たないうちに、Radio Futurs Médias(RFM)の編集局長ババカル・ファルも、ジャーニュとの電話生インタビューを終えた直後に逮捕された。両者の逮捕はいずれも国家安全保障を危険にさらし司法権限を損なったとする容疑に関連づけられ、7TVとRFMの放送信号もあわせて遮断された。報道の自由の擁護者は、司法捜査中の人物であることが、公共の関心事に関するジャーナリストによるインタビューを禁じる理由にはならないと強調しており、プレスコード自体もジャーナリストが妨げられることなく情報にアクセスし取材を行う権利を保障している。
これに先立つ2021年3月3日、ソンコの逮捕を受けてダカール、カオラック、サン゠ルイ、カザマンスなど複数の主要都市でデモが発生し、翌4日には放送規制当局CNRAが暴力的な映像を繰り返し放送したとしてWALF TVとSEN TVの2局を3日間停止した。2023年のソンコ有罪判決後の混乱では複数のテレビ局の信号が遮断され、Walf TVもその対象となった。同局は他の多くのセネガルのテレビ局と同様、ソンコの裁判を広範に報道していた。当局はWalf TVが継続的にデモの映像を放送し、「破壊的・憎悪的・危険な」発言を流したと非難し、通信・電気通信相の命令によって事前通知なしに1か月間の停止を命じられた後、48時間の放送停止に処された。親会社Walf Fadjriは6月22日にこの停止処分を最高裁に提訴したが、裁判記録を入手した「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」によれば、裁判所は停止措置がすでに進行しており「公共の利益」に資すると判断し、命令の取り消しを拒んだ。Walf TVはこれまでも同様の理由でCNRAにより複数回停止処分を受けており、2023年2月初旬にはソンコが出席したデモの「無責任な報道」を理由に1週間の停止処分を受けている。
拘束されたジャーナリストたち
報告書は個別のジャーナリスト拘束事案を詳細に記録している。2025年12月、Waldfadjriプレスグループのコラムニストであるパプ・サネは、フェイクニュース流布の容疑で禁錮3か月(執行猶予付き)および25万CFAフラン(約445米ドル)の罰金を科された。この逮捕は、サネがサナ・マンジャンに関する発言を行ってから3日後に行われた。マンジャンは、ヤヒヤ・ジャメ元大統領配下の準軍事組織「ジャングラーズ」の元メンバーで、2004年にガンビア人ジャーナリスト、デイダ・ハイダラを射殺したとされる人物である。ハイダラは独立系新聞The Pointの編集責任者兼共同所有者であり、AFP通信員、RSF通信員でもあった。彼はバンジュールの自宅への帰宅途上、頭部と胸部を銃撃されて死亡し、2019年には軍将校の証言によりジャメ元大統領の直接命令によるものだったとの疑惑が浮上、バンジュールの裁判所がマンジャンらへの逮捕状を発付している。サネはテレビ番組の中で、マンジャンがセネガルの政治的人物との関係についてセネガルの治安機関から尋問を受けたと発言し、検察がこれを根拠のない主張とみなしてフェイクニュース流布の訴追手続きを開始した。
もう一つの著名な事案が、調査報道サイトDakar Matinの創設者であるパプ・アレ・ニアンのケースである。彼はソンコをめぐるレイプ疑惑捜査に軍が関与し捜査結果を改ざんしたとする警察報告書の内容を含む動画を11月3日に公開した直後、検察官アマディ・ジューフの命令により逮捕された。検察官は、ニアンが国防・治安部隊に対し根拠のない主張を繰り返し行い、国の防衛機構を攻撃していると述べた。ニアンは国防に損害を与えうる情報の開示、行政・軍事文書の隠匿、公的機関の信用を失墜させうる虚偽情報の流布の容疑で起訴され、有罪となれば禁錮5年までの刑が科される可能性があった。ニアンの拘束はセネガルの報道界の反発を呼び、彼はダカールから41キロのセビコタン刑務所でハンガーストライキを開始した。12月14日、裁判なしに1か月以上拘束された後、保釈が認められたが、パスポートは押収され、国際渡航と自身の事件についての公の発言を禁じられた。保釈からわずか5日後、生放送番組に出演し警察監察総監ボカール・セイドゥ・ヤグに対する批判的発言を行ったことを理由に再逮捕された。ニアンは拘束以来食を絶っており、12月24日に入院。アフリカ各国のジャーナリスト40名以上が釈放を求め、複数の団体が国連機関、アフリカ連合、ECOWAS首脳に釈放を求める請願書を送付した。これを受けて国連人権擁護者特別報告者メアリー・ローラーがニアンの健康悪化への懸念を表明し即時釈放と医療アクセスを求めた。2023年1月10日、入院中のまま裁判官の命令により釈放されている。CPJのアフリカ・プログラム調整官アンジェラ・キンタルはこの釈放について、「セネガルはかつて西アフリカにおける報道の自由の灯台であったが、その光はジャーナリストの繰り返される投獄と嫌がらせによって消されつつある」とコメントした。
2025年4月14日には、ジャーナリストのアブドゥ・ンゲールと同僚2名(ウマル・ンディアイ、ファティマ・クリバリ)がコロバーヌ警察署に呼び出された。1時間の尋問後、後者2名は釈放されたが、ンゲールは拘束された。拘束理由は、セネガル憲法評議会議長ママドゥ・バディオの検死解剖を求めるTikTok投稿に関連するもので、ンゲール自身は投稿の作者ではないと主張した。その後、コロバーヌ警察捜査課がこのTikTokアカウントの実際の所有者パプ・アマドゥ・ンディアイ・ジャウを特定し、本人が投稿の作者であることを認めた。この特定を受けてもなお、ダカールの裁判所は両名を拘束したまま司法捜査を開始している。
身体的暴力と脅迫
2022年7月31日の立法選挙を前に、ジャーナリストは脅迫と威嚇にさらされた。RSFは言葉による、また物理的な脅迫の憂慮すべきエスカレーションを報告し、国際新聞編集者協会(IPI)も、オンライン・オフライン双方でジャーナリストとメディアに対する攻撃が「露骨」になっていると述べた。2022年5月24日には、与党連合Benno Bokk Yaakaar(BBY)の記者会見でジャーナリストのンジェイエ・ンゴネ・ディオプが元首相でBBY党首のアミナタ・トゥーレに質問した後、BBY支持者に取り囲まれ小突かれる事案が発生し、他のメディア関係者の介入によってようやく収束した。BBYは後にトゥーレを通じてディオプに謝罪している。
2022年4月14日には7TVの記者パプ・マリック・ティアムが、ダカールの法廷審理を取材中に逮捕された。制限区域での撮影を理由に警官に呼び止められ携帯電話を押収され、その押収に抗議したことで警察官侮辱罪に問われた。7TVの経営責任者ンドゥール・ファイによれば、警官はティアムを「激しく」殴打し、顔面の腫れと衣服への出血を伴う怪我を負わせ、ティアムは意識を失い警察署で意識を取り戻したという。4月20日、ティアムは公務執行妨害・侮辱の容疑で裁判にかけられたが、弁護士による寛大な処分の申し立てにより免責された。ティアムは反訴を行わない意向を示し、事態を再燃させたくないと語っている。
「公共秩序」言説とロシアの情報工作という逆説
報告書がもう一つの分析軸として提示するのが、セネガル政府自身が用いる正当化言説と、その言説がもたらす意図せざる帰結である。政府がデジタル制約を実施する際にもっとも頻繁に援用するのは「公共秩序」と「国家安全保障」の維持という言説であり、これによってデジタル上の動員、若者主導の抗議、デジタル・ジャーナリズムは、市民権の正当な行使としてではなく、国家の存続を脅かす急性の安全保障危機として分類される。刑法典第80条はテロ行為に該当しうる行為について曖昧な文言を含み、正当な政治的批判を国家安全保障を脅かす犯罪行為として解釈することを可能にしている。第255条も、公的機関の信用失墜や国民の士気低下という基準がどこにあるかを明確にしないまま、個人・団体・企業に10万〜150万西アフリカフランの罰金と1〜3年の禁錮刑を科す余地を残しており、報告書はこれをICCPR第19条3項が求める「法律で定められ、正当な目的を追求し、民主的社会において必要である」という要件との抵触として位置づけている。
この「反破壊活動」「ヘイトスピーチ対策」という言説が特に選択的に適用された象徴的事例が、ソンコ逮捕直後に実施されたTikTokの無期限停止である。通信・電気通信・デジタル経済省は、TikTokが「国の安定を脅かす憎悪的・破壊的なメッセージを広める悪意ある人々に好まれるSNS」になったと述べ、ムーサ・ボカール・ティアム相はこの制限が「包括的な書面合意」に達するまで維持される必要な公共保護措置だと主張した。報告書は、このTikTok禁止の実質的な機能がヘイトスピーチからの市民保護ではなく、政治危機の視覚的な語りを統制する手段であったと分析している。
同時に報告書は、セネガル国内での情報統制の強化が、逆説的に外国発の本物の偽情報工作に対する脆弱性を高めているという構図を提示する。米国防総省と関係の深い研究機関アフリカ戦略研究センターによれば、アフリカの情報システムを操作しようとする偽情報キャンペーンは2022年から2024年にかけてほぼ4倍に急増しており、ロシアがこれら破壊工作の主要な資金提供者として特定されている。この背景には、フランスの軍事的プレゼンスがマリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャド、そして最後にセネガルからも撤退・追放され、フランスの地域における恒久的軍事駐留が終焉したという西アフリカ全体の地政学的変化がある。この空白を埋めるべく、ロシアは「反帝国主義的な安全保障パートナー」としての立場を売り込み、前例のない情報戦キャンペーンを展開してきた。
具体的には、EUによるRT(旧ロシア・トゥデイ)とスプートニクの禁止・制裁(2022年のウクライナ全面侵攻後)を受けて、クレムリンはアフリカ市場へとメディアインフラを積極的に転換した。RTはDStvやStarSatといった衛星プラットフォームから外された後、アディスアベバ、ナイロビ、ダカールなど主要都市で大規模な広告キャンペーンを展開し、クワメ・ンクルマ、ジュリウス・ニエレレ、トーマス・サンカラ、ロバート・ムガベといった20世紀の反植民地主義・独立運動指導者の画像や言葉を用い、「Your Values. Shared(あなたの価値観、共有しています)」というスローガンを掲げた。これは反植民地主義の美意識を借用することで、ロシアの戦略的利益を推進するコンテンツに文化的な受容可能性の外衣を与える手法であり、ケニアを拠点に制作されたテレビ番組「Lumumba’s Africa」のような、地元で信頼される人物を起用したローカライズコンテンツの制作によっても補強されている。
RTの公然たる活動と並行して、報告書がより深刻な脅威として位置づけるのが、ロシア対外情報庁(SVR)による秘密工作である。2023年8月のワグネル・グループ首領エフゲニー・プリゴジンの死後、その傭兵ネットワークと情報戦部門はSVRと国防省に正式に吸収された。「African Political Science(アフリカ政治学)」と呼ばれる主要な取り組みは、月額約75万米ドルの予算を持ち、サンクトペテルブルクの拠点から30か国以上にまたがる活動を調整している。Forbidden Stories、The Continent、All Eyes On Wagnerを含む調査コンソーシアムが分析したリーク文書によれば、この組織は元ロシア大統領府職員とSVR工作員——セルゲイ・マシケヴィチ、セルゲイ・クリューキン、アルチョム・ゴルヌイ、そしてメディア部門と偽SNSアカウントの購入を統括するクセニア・ソボレヴァを含む——によって統率される高度に構造化された階層を有する。作戦は、積極的なロビー活動・情報収集・立法工作を担う「政治工作」と、操作的なSNSコンテンツの制作と偽装したメディア買収を担う「メディア工作」の2系統に分かれる。ロシア国家による資金提供を隠すため、このネットワークは現地アフリカメディアへの有料掲載に大きく依存しており、2024年8月だけで約34万米ドルを投じて500以上の記事・動画をアフリカ大陸全域で公表し、信頼された現地の仲介者を通じてクレムリンの主張を洗浄している。2024年通年ではこのネットワークが政治的干渉とオンライン操作に少なくとも730万米ドルを費やしたとされる。そして報告書がとりわけ重視するのが、リーク文書がセネガルを単なる偽情報の標的としてではなく、地政学的な不安定化工作の中心的な対象として描いている点である。ロシア対外情報庁は、セネガルにおける軍事クーデターの可能性についての詳細な計画を策定していたとされる。
報告書はこの節を、国内的なデジタル権威主義と対外的な情報統合性の毀損という二重の帰結を結びつける形で締めくくる。国家が「フェイクニュース」の取り締まりに立法・司法・技術上の膨大な資源を投じる一方で、同じ社会が高度に組織化され資金力のある外国発の影響工作に晒されているという構図は、市民空間が国家による意図的な抑圧と、国境を越えた偽情報アーキテクチャによる隠然たる操作という二つの圧力の間に挟まれていることを示していると報告書は総括している。
結論——ファイ・ソンコ政権下の岐路
報告書の結論部は、まずマッキー・サル政権下で整備された法制度——2017年プレスコード、範囲を拡大された刑法典・刑事訴訟法、そして2024年恩赦法——を振り返った上で、2021〜2024年の政治的・デジタル的危機がアフリカ全域における民主的統治の軌跡を映す事例として、人権保護に重大な含意を持つと位置づける。
憲法第10条が表現の自由を明確に保障しているにもかかわらず、その範囲は実践において継続的に狭められてきたというのが報告書の核心的な評価である。オンライン言論の犯罪化とデジタル通信への広範な制約は、民主的規範を侵食するだけでなく、デジタルツールを統制の手段として用いることの合法性そのものに疑問を投げかける。法の抜け穴が、政府にとって制約を正当化し異論を処罰することを容易にしてきたということである。2023〜2024年の反復的なデジタル遮断とSNS制限は、市民の抗議を抑え政治危機を管理するための手段であったが、これは自由権規約第19条およびアフリカ人権憲章第9条が保障する表現の自由・情報アクセス権への直接の違反にあたる。インターネット遮断は日常的な通信を妨げるだけでなく、経済システム、医療アクセス、教育機会をも混乱させるものであり、インターネットアクセスが複数の基本的権利と結びついた重要インフラであることを示している。
2025年のECOWAS判決は、デジタル世界における基本的権利の保護を強化する重要な一歩であったが、報告書は、定着した制度的先例と政治的正当化がその判決の実践的効果を制限してきたと評価する。制約された市民空間の下で、セネガルの市民社会組織は自由に機能することができず、その結果として市民が基本的権利の侵害を不均衡に被っている。
とはいえ報告書は、ファイ・ソンコ新政権の下での変化にも一定の紙幅を割いている。CIVICUSは2023年の格下げ以降、セネガルの評価を「抑圧された(repressed)」から「制約された(obstructed)」へと再び引き上げた。新政権は内部告発者保護法と情報アクセス法の改正など、将来の民主主義への脅威を防ぐための措置を導入し、デジタル主権・デジタル経済の発展・インターネットアクセス支援を掲げる「New Deal Technologique」プロジェクトも、データ保護とデジタル運用の強化を後押ししているとされる。
しかし報告書は同時に、メディアとデジタル情報を規制するために創設されたCNRMが、その広範な権限と射程ゆえに批判の対象となっている点を指摘する。課題は明示的な政府統制から、次の政治危機においてCNRMが行使しうる広範な裁量権限へと移りつつあるということである。さらに、虚偽情報の流布や与党批判を理由としたジャーナリストの恣意的な逮捕が続いていることも、新政権が掲げる市民空間保護の公約と矛盾している。報告書は最終的に、セネガルが民主的な岐路に立っており、その将来はデジタル統治がどう進化し、より大きな説明責任が達成されるかにかかっていると結論づける。情報統治の安全保障化と例外的なデジタル措置の常態化が続けば、市民参加と政治的多元主義は濫用に対して脆弱なままであり続ける一方、意味のある改革が実現すれば、市民の自由、メディアの独立、市民参加を保障しうる。セネガルの民主的正統性の維持は、物理空間とデジタル空間の両方における基本的権利の保護にかかっているというのが、報告書全体を通じた最終的な評価である。

コメント