2025年2月24日にCenter for Countering Digital Hate(CCDH)が発表したレポート「More Transparency and Less Spin」は、Meta が2025年1月7日に発表したコンテンツ管理ポリシーの変更について詳細に分析している。本記事は、CCDHのレポートの主な内容を紹介する。
Metaのポリシー変更の概要
Metaは「More Speech, Fewer Mistakes」(より多くの言論、より少ない誤り)というテーマのもと、以下の6つの主要な変更を発表した。
- 積極的なコンテンツ規制の停止
- Metaは、一部の有害コンテンツに対する「積極的な規制(proactive enforcement)」を停止し、ユーザーの報告があった場合のみ対応する方針に変更。
- CCDHによると、この変更により97%の規制が削減され、約2億7700万件の有害コンテンツが削除されなくなる可能性があると指摘。
- 「基準違反の可能性がある」コンテンツの降格を減少
- これまで「違反ギリギリ」の投稿の拡散を抑制する措置が取られていたが、今後はこの対応を緩和。
- CCDHの分析では、政治的誤情報や陰謀論が拡散しやすくなる可能性がある。
- ヘイトスピーチポリシーの緩和
- Metaは、「移民」「ジェンダー」「性別」に関する表現の規制を緩和。
- CCDHが入手したリーク情報によると、以前は禁止されていた表現の一部が許容されるようになった。
- 独立ファクトチェックの廃止と「コミュニティ・ノート」への移行
- Metaは、第三者機関によるファクトチェックを廃止し、ユーザー主導の「コミュニティ・ノート」制度に移行。
- CCDHは、「コミュニティ・ノート」が誤情報対策として十分に機能するかについて疑問を呈している。
- 選挙・政治・社会問題に関するコンテンツの降格を減少
- 2021年に発表された「政治コンテンツを減らす方針」を撤回し、これらのコンテンツの露出を増やす。
- CCDHによると、政治的誤情報が拡散しやすくなる可能性がある。
- コンテンツ監視チームのテキサス移転
- Metaは、「バイアスへの懸念を減らすため」として、コンテンツ監視チームをカリフォルニアからテキサスに移転すると発表。
- CCDHは、既にテキサスには大規模な監視チームが存在しており、実質的な変化は少ない可能性があると指摘。
CCDHの分析と考察
CCDHのレポートでは、Metaの変更がもたらす影響について、以下のような点が強調されている。
- コンテンツ規制の緩和による影響
- ヘイトスピーチや誤情報の拡散が加速する可能性。
- AIを活用した積極的な規制が減少することで、有害コンテンツの取り締まりが遅れる懸念。
- ファクトチェックの変更による影響
- 「コミュニティ・ノート」が誤情報の訂正にどこまで効果を発揮できるか不透明。
- 過去の調査では、政治的誤情報に対して十分に機能しないケースが多かった。
- 政治的な影響
- この変更は、政治的バランスを取る試みとしての側面があるとも考えられる。
- 言論の自由の拡大と規制のバランスが課題となる。
まとめ
CCDHのレポートは、Metaのポリシー変更が誤情報対策やコンテンツ管理のあり方にどのような影響を与えるかを分析したものだ。規制緩和によるリスクと、言論の自由とのバランスの問題が指摘されており、今後の動向が注目される。
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