通報82件で広告停止は5%未満――YouTubeとTikTokの気候偽情報モデレーションをMaldita.esとScience Feedbackが三段階で検証

通報82件で広告停止は5%未満――YouTubeとTikTokの気候偽情報モデレーションをMaldita.esとScience Feedbackが三段階で検証 ファクトチェック

 スペインのファクトチェック団体Fundación Maldita.esとフランスの科学系ファクトチェック団体Science Feedbackは2026年10月13日、共同報告書「Inconsistencies in climate dis/misinformation moderation on YouTube and TikTok: A phased analysis on video-based platform enforcement of climate disinformation under the EU’s Digital Services Act」を公開した。欧州のファクトチェック団体の認証・連携組織である欧州ファクトチェック基準ネットワーク(EFCSN)の支援を受けたもので、スペイン語とフランス語の気候偽情報動画をYouTubeとTikTokに実際に通報し、プラットフォームの社内対応、アカウント単位の措置、EUデジタルサービス法(DSA)が定める域外救済の三段階で執行の実態を観測している。著者2団体はいずれもプラットフォームと協働関係を持ちうるファクトチェック事業者であり、提言にはTikTokに対してファクトチェッカーとの協力をより活用するよう求める項目も含まれており、評価主体が利害関係者である点は前提として押さえておく必要がある。

検証の前提:「新たな否認」と二つのプラットフォームの規則

 報告書は二つの動画から始まる。一つはスペイン語のYouTube動画で、タイトルは「The Climate Consensus Fraud」、再生数は14万回を超える。スペイン語を話す「科学者」へのインタビューを連ね、人為的CO2が温暖化の主因であることを否定し、科学的コンセンサスを検閲の一形態と呼び、CO2は無害で有益だと主張する。もう一つはフランス語のTikTok動画で、再生数は50万回超。霊媒師が科学的説明を一切捨て、気候変動は政府が管理する気象操作技術と「古代のカルマの周期」によって生じていると語る。

 報告書が問題にするのは、古典的な全面否認から、陰謀論や疑似科学、温暖化の深刻さや対策の有効性への疑義、気候行動に関わる組織の動機への攻撃といった多様なナラティブへの移行であり、先行研究の用語に倣ってこれを「新たな否認」と呼び、全体の分析枠組みとしている。

 TikTokは気候偽情報を明示的に対象とするポリシーを持つ数少ないプラットフォームで、気候変動の存在を否定する、原因を誤って伝える、確立された環境影響と矛盾する偽情報を禁止し、削除の対象としている。しかし気象操作のような陰謀論は、このポリシーではなく陰謀論全般を扱う別のポリシーに分類され、そちらの措置は削除ではなく表示順位の引き下げ(降格)にとどまる。YouTubeには気候偽情報に関するコンテンツ規則自体がなく、2021年に導入した広告ポリシーによって、気候変動の存在と原因に関する科学的コンセンサスに反するコンテンツの収益化を認めないとしているのみである。

 DSA上、両社は超大規模オンラインプラットフォームとしてシステミックリスクを特定・評価・軽減する義務を負う。TikTokの最新のDSAリスク評価は気候偽情報を公共の安全に関わるリスクとし、ファクトチェッカーや気候専門家との協力を記載するが、アルゴリズムによる押し上げや収益化プログラムの影響には触れていない。YouTubeのリスク評価は気候偽情報に一切言及していない。報告書はこの「主張と実態の差」を、DSA第14条、第20条、第21条、第34条・第35条と、両社が署名する偽情報に関する行動規範への準拠という観点から検証すると位置付けている。

方法:8万4,000本からLLMで絞り込み、人手で通報する

 データ収集には、両団体の数年来の監視活動に基づくスペイン語・フランス語のキーワードリストが使われた。付録として全リストが公開されており、スペイン語では「estelas químicas(化学物質の飛行機雲)」「HAARP AND cambio climático」「No es sequía, es saqueo(干ばつではない、略奪だ)」「ciudad de 15 minutos(15分都市)」「iglesia de la calentología(温暖化教会)」、フランス語では「traînées chimiques」「réchauffologie」「GIEC corruption」「Idriss Aberkane AND climat」「Vincent Lapierre AND climat」などが並ぶ。気象操作、グローバリスト陰謀論、再生可能エネルギーや電気自動車への攻撃、気候運動への蔑称、特定の言論人名までを含み、「新たな否認」の流通語彙を示す資料としても価値がある。

 サードパーティのAPIを通じて2025年10月から2026年2月に公開された動画を収集し、以下の段階で絞り込んだ。

段階処理TikTokYouTube
収集キーワード検索14,000本(スペイン4,500、フランス9,400)70,000本(スペイン29,000、フランス41,000)
関連性フィルタ説明文とハッシュタグにMistralのLLMを適用し娯楽等を除外4,400本20,000本
違反可能性の採点書き起こしをOpenAIのモデルでポリシーと照合、0〜10点で7点超を抽出331本(スペイン133、フランス198)894本(スペイン564、フランス330)
人手検証100再生未満を除外し、高影響の動画をファクトチェッカーが既存の検証記事と照合87本を通報82本を通報

 採点用プロンプトはScience Feedbackが事前に検証したものとされる。人手検証で違反と確定した動画は、Maldita.esがTikTok 35本・YouTube 48本(スペイン語)、Science FeedbackがTikTok 52本・YouTube 34本(フランス語)で、違反の理由と反証となる検証記事へのリンクがデータベースに記録された。LLMは候補抽出にとどまり、通報対象の確定は人手で行われている。

 通報経路はプラットフォームごとに異なる。TikTokでは「有害な誤情報」カテゴリで通報した。ここで報告書は、二層のポリシー構造を逆手に取った推定を行っている。削除が行われれば気候ポリシーが適用されたこと、降格にとどまれば陰謀論ポリシーが適用されたことを意味するため、措置の種類からどちらの規則が使われたかを推測できる。YouTubeでは、広告停止が唯一の執行手段であるため収益化されている動画のみを対象とし、「誤情報」カテゴリで通報した。収益化の有無は自動検出のうえ、TubeLabとNexlevという二つの拡張機能と再生前広告の目視で照合し、通報前後で比較した。

 ナラティブの分類にはCoanらが開発した気候偽情報の分類体系(上位主張と下位主張からなる)を用い、元の体系にない6番目の上位主張として「陰謀論:政府または企業による気象操作・妨害」を追加した。さらに各プラットフォームで最多再生の上位10本について、再生数を投稿者のフォロワー数で割り、到達が自然なものか、アルゴリズムによる押し上げが疑われるかを推定している。

ナラティブの分布:気象操作陰謀論が再生数を支配する

 各ナラティブが総再生数に占める割合(%)は次のとおりである。

ナラティブフランス語TikTokフランス語YouTubeスペイン語TikTokスペイン語YouTube
気象操作・政府や企業による妨害(陰謀論)70.0848.7383.5521.68
気候科学は信頼できない23.2529.746.8334.43
人為的温室効果ガスは温暖化の原因ではない6.3315.198.3830.03
地球温暖化は起きていない0.212.661.1712.4
気候対策は機能しない0.13000
気候変動の影響は悪くない000.051.46
分類不能03.69該当なし該当なし

 TikTokでは両言語とも気象操作・ケムトレイル陰謀論が圧倒的で、再生数はスペイン語で99万5,000回超、フランス語で60万回超に達する。フランス語TikTokではこの系統が動画本数の54.7%を占め、再生上位10本のうち8本が気象操作か、政府が統制のために気候変動を利用しているとする陰謀論を含んでいた。スペイン語TikTokでは60%が気象操作または国家・企業による妨害のナラティブで、バレンシアのマラソン開催時の気象現象が経済的利益のために意図的に操作されたと主張する動画(11万9,000回超)、チリの山火事はレアメタル採掘の許可を得ようとする企業が起こしたとする動画(3万8,000回超)が例示されている。いずれも再生数が投稿アカウントのフォロワー数の2倍を超えており、フランス語ではフォロワー数の10倍超、8倍超に達した動画もあった。報告書はこれをアルゴリズムによる押し上げの兆候と解釈している。

 YouTubeでは様相が異なる。スペイン語では動画本数では気象操作が最多で(31%、13万3,000回超)、干ばつと洪水を引き起こすためにケムトレイルが使われているとする動画(2万9,000回超)などがあるが、再生数では本数3番手の「気候運動・気候科学は信頼できない」が最多の20万回超を集め。フランス語では「気候科学は信頼できない・陰謀的」が動画本数の47.1%と半数近くを占めて18万5,000回超を集めた一方、本数で劣る気象操作系統が30万回超で再生数首位となり、ケムトレイル・地球工学計画を主張する1本だけで20万回超を記録した。YouTubeの上位10本はおおむねフォロワー数に対して再生が伸びておらず、押し上げの兆候は乏しかったとされる。

 フォロワー比による増幅推定は、共有や外部サイトからの流入でも同様の比率が生じうるため押し上げの「兆候」以上のものではないが、同じ手法でTikTokとYouTubeの間に明確な差が出た点はプラットフォーム間比較の材料として意味を持つ。

フェーズ1:コンテンツ単位の執行

 通報後72時間の時点で広告停止の兆候が見られたのは、フランス語で5%、スペイン語で4%にとどまった。フランス語では2%が削除され、93%は収益化の兆候が残っていた。スペイン語では2%が検証不能で、94%が収益化されたままだった。両団体が送った80件を超える通報に対し、YouTubeからの回答は一件もなかった。報告書はこれを市場をまたぐ構造的な透明性の問題と位置付けている。

 この不透明性には制度設計上の原因がある。YouTubeの通報ページが通報の結果として示す措置は削除と年齢制限のみで、気候偽情報に対する唯一の罰則である広告停止は選択肢として存在しない。執行されても通報者には知る手段がない。一部の動画には国連などへ誘導する情報パネルが表示されていたが、収益化は継続していた。

 TikTokは通報動画のおよそ5分の1に措置を取ったとされる。言語別にはフランス語で3%、スペイン語で17%で、すべて陰謀論ポリシーによる制限だった。フランス語では同種のケムトレイル・地球工学の主張を含む動画27本が放置されており、ほぼ同じ内容に対する判断の不一致が観察されている。削除対象となるはずの気候ポリシー違反、すなわち気候変動の現実や原因を否定する動画には一件も措置が取られなかった。二層構造を用いた推定に従えば、TikTokの気候ポリシーは今回の通報に対して一度も発動していないことになる。

 異議申立ての結果はさらに明確である。両言語合計147件の申立てで、当初の判断が覆った例はゼロだった。報告書はこれを、手続が実質的な見直しの仕組みではなく法的形式にとどまっている可能性を示すものとして扱う。

 応答時間の分析は自動処理の痕跡を外部から読み取る試みである。スペインでの平均応答時間は約22時間で、すべての応答がちょうど正時か30分の時刻に着地していた。フランスでは平均約38時間とスペインの2倍以上で、正時・30分ちょうどに着地したのは30%だった。これは違反コンテンツの94.1%が人間の審査なしに自動処理されたとするTikTokの透明性報告書と整合的だとされる。

 ただしフランスの残り70%には別の問題がある。付録Iによれば、TikTokの通報管理ページは異議申立てが行われると、初回応答の日時を申立ての日時で上書きする。研究チームは各段階の日時を手作業で外部データベースに記録しており、途中で記録した動画と完了後にまとめて記録した動画の比較から不具合に気付いた。画面上では初回応答と申立て受付が秒単位まで同じ時刻を示し、ある動画では申立て受付(6月25日17時00分55秒)が初回の「違反なし」判定(6月27日12時29分35秒)より前に表示されるという、時系列上あり得ない状態になっていた。研究チームは申立て前に記録できた18本のみを信頼できるデータとして扱い、その平均応答時間は約6時間だった。残る34本の平均55時間は、実際に人手で審査された結果なのか不具合の副産物なのか判別できないとしている。

フェーズ2:アカウント単位の執行

 両プラットフォームとも違反の累積に応じたストライク制度を掲げている。YouTubeは最初のストライクから90日以内に2回のストライクで2週間の投稿停止と明記し、TikTokは固定の閾値を示していないため、研究チームは3回の違反を閾値とみなした。そのうえで、両団体が常習的な偽情報発信者として既に把握している「最悪の違反者」のアカウントを優先的に調べ、スペイン語でTikTok 26本・YouTube 36本、フランス語でTikTok 61本・YouTube 45本の違反動画を追加で通報した。YouTubeについては、3本以上通報したチャンネルを2週間監視し、通常の投稿頻度を考慮しつつ投稿が止まるかを制限の代理指標とした。

 結果は全言語・全プラットフォームで、アカウント単位の措置の兆候なしだった。スペイン語TikTokでは2,600人超のフォロワーを持ち3件の違反が通報されたアカウントにも目に見える措置はなかった。フランス語YouTubeでは134人のフォロワーを持つ単一アカウントから3本を通報し、3本とも広告停止されたとみられるが、アカウント自体には何の措置も見られず、投稿者は1日に複数回の投稿を続けた。スペイン語YouTubeで制限と整合するパターンを示したのは1アカウントのみで、それも確証はない。なおフランス語TikTokの節にも「3ストライク以上、フォロワー134人超」という記述があり、YouTubeの事例と同じ数字であることから転記の誤りの可能性がある。

 報告書はこれを各社の公表数値と照らし合わせている。TikTokの透明性報告書では、誤情報ポリシーに基づく措置120万件超のうちサービス停止は404件で、0.03%にすぎない。YouTubeは広告主に適したコンテンツのガイドライン(気候偽情報を含む)に基づき15万3,000件の措置を取り、すべてが収益上の制限だったとするが、収益化データが公開されていないため、通報を重ねたアカウントに制限が科されたかは確認できない。

 報告書自身、このフェーズを最も測定困難だったと認めている。緩い執行のためそもそも3ストライクに達するアカウントが少なく、広告停止や降格といった制限の多くは外部から観測できず、追跡できるのは事実上アカウント停止のみだからである。

フェーズ3:DSA域外救済の機能不全

 社内の異議申立て後も違反なしとされた案件は外部の救済手段に持ち込まれた。スペインでは、DSA第21条に基づきソーシャルメディアの利用規約の適用に関する紛争を扱う認証を受けた裁判外紛争解決機関であるAppeals Centre Europeに申し立てた。最後の申立てから1か月で決定が出たのは全体の10%で、プラットフォーム別ではTikTok案件の28%、YouTube案件の1%だった。

 総括の数値によれば、回答の93%がTikTok案件、7%がYouTube案件で、決定のうち61%がプラットフォームの当初判断の見直しを勧告し、16%はプラットフォームが判断に必要な情報を提供しなかったことを理由とする手続上の申立人勝訴、23%がプラットフォームの判断を支持した。一方、スペイン語TikTokの節の内訳は、警告画面などの「関連するコンテンツ制限」の適用(実質的には降格と報告書は推測)が50%、削除勧告が8%、ポリシー違反なしが26%、手続上の勝訴が16%である。制限と削除を合わせると58%で、総括の61%とは一致しない。YouTube案件の決定はすべて、掲載は継続しつつ情報バナーなどの制限を続けるべきというもので、該当動画はバナー付きのまま収益化されていた。勧告がプラットフォームに反映された痕跡は、いずれの案件でも確認されなかった。

 報告書はODSの運用上の問題を具体的に指摘している。ある案件では、ODSは「削除されるべきではなかった」と判断したが、TikTokは当初から違反なしとしており、動画は一度も削除されずに公開され続けていた。申立てフォームにも「削除してほしいコンテンツをプラットフォームが残した」以外の選択肢がなく、制限や降格を求められない。措置の段階が重要な偽情報には適合しない設計である。

 フランスでは、各国のDSA執行当局であるデジタルサービス調整官を務めるArcomに、利用者が規則違反を申し立てられるDSA第53条に基づき、プラットフォームごとに1件ずつ申し立てた。Arcomはコンテンツを判断したりモデレーションを覆させたりする権限を持たないため、申立ては自社規則の誠実な適用(第14条)と通報・異議申立ての処理(第20条)という行動面に焦点を当てた。TikTok分は異議申立て後も判断が維持された101本を対象とし、YouTube分は通報への無回答と収益化規則の執行を問題とした。第53条は申立人が状況について適切な情報を受け取ると定めるが、執筆時点で回答はなく、報告書は回答があれば更新するとしている。

提言と、数値の読み方についての注意

 プラットフォームに対しては三点が提言されている。第一に、自ら定めた規則を誠実かつ一貫して適用すること(第14条)。第二に、気候ポリシーを「新たな否認」に合わせて更新すること。YouTubeの規則は古典的否認しか想定せず、気候変動は自然に有益だとする主張、科学界を不正と描く陰謀論、地球工学による気象操作、エリートのグローバリスト計画としての温暖化でっち上げ論を捉えられない。TikTokには、軽い罰則の一部にしか執行が及ばない点を問題とする。第三に、人間による審査が自動モデレーションの性能を実際に改善するようにすること(第20条)。同条は異議申立てを自動手段のみによらず処理するよう求めており、ほぼ同一の内容への判断の不一致や覆り率0%はシステム全体の信頼性の欠陥を示すとする。

 規制当局に対しては、第34条・第35条のリスク軽減義務の履行確保、第20条の透明性義務(YouTubeの無回答はこれに反する)の履行確保、行動規範の遵守確保が挙げられる。YouTubeパートナープログラムでは広告純収入の55%が投稿者、45%がYouTubeに配分されるため、気候偽情報動画の再生は投稿者とプラットフォームの双方に収入をもたらす。報告書はYouTubeが偽情報に資金を供給するだけでなく利益を得ていると指摘し、収益化情報を一定程度公開しているのは現状Metaのみだとして、収益分配に参加するアカウント、社内苦情処理における広告停止の経路、通報が広告停止につながった場合の通知などの公開を全プラットフォームに求めている。TikTokについては、行動規範のファクトチェック章に署名しながら、確認された気候偽情報動画のいずれにもラベルがなかったことを指摘する。

 ODSについては、定型回答の粒度、応答の遅さ、削除未満の勧告の実装を追跡できない問題が挙げられる。決定に拘束力はないが、プラットフォームは大規模に勧告を実施しない場合にその理由を説明すべきだとし、法学者Martin Husovecの「systemically but not individually binding」という表現を引いて、個別の勧告は退けられても仕組み全体を正当な理由なく無視し続けることはできないという立場を示している。

 以下は報告書の記載から筆者が読み取った、数値引用上の注意点である。TikTokの措置率について、総括の「87本中20%」と本文の「各言語でおよそ5分の1」は、言語別の3%と17%を足すと20になることから、平均ではなく合算値を指している可能性がある。言語別に見ればフランス語の3%は5分の1から大きく外れる。ODSの結果も、前述のとおり総括と言語別の内訳が一致せず、「10%に決定」「TikTok 28%・YouTube 1%」「さらに56%が公開時点で解決」という三つの数字の関係も明示されていない。いずれも結論の方向を変えるものではないが、再引用の際は言語別の値に立ち返るのが安全である。

 この報告書の価値は数値の精度より手法にある。プラットフォームが内部データを開示しない状況で、二層ポリシーの罰則差から適用規則を推定する、応答時刻の分布から自動処理の痕跡を読む、広告表示の前後比較で通知されない措置を検出する、投稿頻度の変化をアカウント制限の代理指標にする、という一連の工夫は、外部研究者がDSAの執行実態を検証するための再現可能な枠組みを示している。同時に、それでもYouTubeの広告停止とアカウント単位の制限がほぼ観測不能だった事実は、収益化データと措置通知の透明性がDSA第20条と行動規範の実効性を左右する条件であることを示している。報告書と同時に公開された提言文書「how to fix a system that appears not to be working」と併せて読むと、両団体が規制当局に何を求めているかがより具体的に見える。

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